『レインコートと首の無い鳥』は2018年6月20日にreleaseされる「elude」から。
『Maison book girl』は,楽曲を手がけるサクライケンタの手腕で注目されるユニットである。上記楽曲はすぐにわかるとおり,変拍子(5拍子中心)であり,ミニマル音楽(STEVE REICH)の影響が色濃い。
マスロックのアイドル版とでも言おうか。
ただし,ユニット自体の魅力はそれなりだ。そういうと身も蓋もないが,凝ったアレンジに個性の薄いフロントという組合せはJ-POPの一つの終着点だと思う。
そもそも,日本のアイドル歌謡はド下手な歌唱をどうアレンジでカバーするか,といういびつな捩れ方をしてきた面がある。端的な例はスマップで,素人同然の歌唱力に極めて高度な金のかかったアレンジを当てている。そして,それが楽曲として成立するという離れ業がなされている。
そうしたアイドル歌謡を前向きにとらえた楽曲が,ここ数年チラホラ耳に届くようになってきた。
おそらく,その嚆矢となったのは初音ミクとPERFUMEかもしれない。
PERFUMEにおいては,そのボーカルはボーカロイドか,と思われる程度にまで加工されている。彼女たちの個性はどこにあるのか,と思えるほどだ。
しかし,極端にまで加工されたPERFUMEのボーカルはそれでも個性がなくならない。
むしろ,僅かに残った個性が凝ったアレンジを邪魔せず,楽曲に溶け込み,なおかつ楽曲のフロントとして機能するというポジションを獲得しているように思う。
しかも,PERFUMEは歌の能力にも関わらず,アイドルよりも上位の存在として認識されているように思う。ひとえに楽曲(とダンスも?)の力による。アイドルの魅力で売るのではなく,楽曲を前面に立てているわけだ。
こうした楽曲を提供しているのには,SORA TOBU SAKANAがいる。
サカナ日記27日目 「広告の街」ダンス映像
バックはハイスイノナサ。高度なアレンジと打ち込みではないプログレっぽい演奏力を持ったバンドである。中心は照井順政。
Maison book girlには次のような楽曲がある。
Maison book girl / bath room / MV
Maison book girl / cloudy irony / MV
Maison book girl / 言選り / MV
ちなみにメンバーの一人であるコショーメグミはBisの元メンバー。Bisも先鋭的なユニットであった。コショーメグミもそれなりの個性の持ち主なのかもしれない。
Maison〜もSORA〜も尖がった音で大衆性は獲得できないだろうが,こういう音を好む人は欧米を中心に世界中にいる。日本のアイドル・シーンの(楽曲の)レベルの高さに,世界中の人の驚く顔が容易に想像できる。

