2015年12月30日

従軍慰安婦問題,日韓合意

従軍慰安婦問題は,
私の20年来の嫌韓の端緒となったできごとである。

今回の突然の日韓合意,当初は非常に驚いたし,落胆した。
私のような気持ちの人は日本人に多いと思う。

そのうち,識者の論評が出揃うだろうが,
現時点での私の感想をメモっておこうと思う。


拙速にも思える日韓合意

今回の合意は,よく言えば電光石化,
突然,話が沸いてあっという間に外相の合同記者会見。
合意内容も,かなり日本側が譲歩したととれる内容で,
何か無理が感じられた。

どうやら,アメリカが動いたらしい。

間髪いれずに,ケリー米国務長官,ライス大統領補佐官が
声明をだしている。


背景 アメリカの思惑

対中国を念頭に入れてるのだろう。

アメリカはAIIB以来,対中国に本腰を入れてきている。
日本との連携,特に安部総理の訪米以後は,
蜜月といっていい展開を見せている。

朴政権になってから,韓国は露骨な中国よりの姿勢を見せてきた。
慰安婦問題にしても,背後には中国がいて共闘していると考えられている。
そのラインの一つを分断しようとしているわけだ。

韓国の状況を考えれば,あと半年待てば,
日本側にずっと有利に交渉ができるであろう。
しかし,アメリカは待てなかった。
この時期である理由は?

単純に来年は日本の選挙があるからとか,
(支持率を落としたくない)
オバマが辞める前に得点を稼ぎたかったとか,
いろいろ言われている。

対中国関係が切迫しているのかもしれない。
来年に大きなイベントがあるのかもしれない。
大規模な米中衝突をも念頭においているのかもしれない。

何にしても,中韓反日ラインの一つを断絶したのは,
成功しかかっているように見える。


背景 日本の思惑

@世界世論への対処

従軍慰安婦問題は世界的に見れば,事実関係の問題ではない。
多くの政治家,ジャーナリスト,歴史家が
韓国の主張を信じている。
日本軍が半島の女性を無理やり拉致して慰安婦にした,と。

戦勝国史観が残っていたり(日本は無条件に悪,と思いたい),
或いはフェミニズム(SEX SLAVEという言葉に無条件に反応)だったりで,
日本がいくら史料を示し,事実を論理正しく説明しても,
彼らは聴く耳を持たない。
日本が醜悪な言い訳をしている,と耳をふさがれてしまう。

そうであれば,世界の一般人がどう思っているのかは容易に想像できる。
過去の過ちを認めない日本,これである。

現状,慰安婦問題は日本にはマイナスイメージしかない。
だから,事実関係で争うのは将来のこととして,
とりあえず安部政権は謝罪をした。

私の欲目かもしれないが,その謝罪は
各国・マスコミに好意的に受け入れられているように見える。

ただ,それでも
 『やっと日本が性奴隷を認め謝罪と賠償をきめた。
それが世界の評価になるだろう。

A河野談話の再設定

慰安婦問題の方向を決定付けたと言われる,
悪評高き河野談話。
しかし,河野談話をよく読めば,そこは官僚作文,
さほど悪い文章だとは思えない。

しかし,世界的には河野談話は
『日本軍が半島の女性を無理やりむり慰安婦にしたことへの謝罪』
その証拠とされるようになってしまった。

当時は朝日・毎日をはじめとするマスコミはかなり左寄りだったし,
日本人の多くもそれに賛同する雰囲気だった。
また,人の良い日本人は世界に向けて発信することができず,
世界のマスコミも今以上に左翼の力が強かった。
ネットもなかった。
それで,声だけは大きい韓国にいいようにやられてしまったわけだ。
官僚作文の限界でもある。

今回の合意は河野談話を引き継ぎつつ,
河野談話でできなかった世界への発信をかなり意識していると思う。
それは,次の『不可逆性』という日本がこだわる内容につながる。

B不可逆性

日本政府の最大の目的は,
韓国政府に二度と慰安婦問題で騒がせさせない,である。

慰安婦問題の背後には中国の存在がある。
中国は全世界で反日プロパガンダを展開している。
その体のいい狂犬のような先方を韓国が務めている。
敵は少ないほうがいい。各個撃破が基本だ。
敵を中国に絞る,そう日本政府が考えたとしたら,
それはそれで納得できる。

そこで問題になるのは,韓国はゴールを動かす,である。
韓国人は契約を守らない。対韓ビジネスマンには常識であろう。
慰安婦問題にしても,1965年の日韓共同宣言以降,
何度日本は声明を出してきたか。
しかし,韓国はまるでそれらがなかったかのように振舞ってきた。
それが韓国はゴールを動かす,ということである。

そうした韓国の振る舞いが最近アメリカにも知れ渡ってきた。
いや,うざいぐらいにアメリカも知るようになってきた。
朴外交(笑)の成果の一つであろう。

そこで,今回はゴールを動かさないように徹底させようとしている。
それが共同合意にある『不可逆性』という言葉だ。
いかなる合意であれ,
『蒸し返すんじゃないぞ』などという合意がなされることは少ない。
当たり前だからだ。普通は。

  不可逆的(irreversible)
  何度も約束を破って信頼し難い相手に対し、
  何らかの措置を強制しようとする場合に使われる用語。
  通常の外交関係ではあまり使わない. だそうな。

今回,その言葉を入れてきたところに,
日本のそしてアメリカの韓国への不信感が滲み出ている。
極めて異例の,韓国には恥ずかしい宣言であると言えよう。


日米はこの不可逆性を,3月のアメリカでの国際会議に合わせて
確実にしようとしているようだ。
証人は,アメリカおよび世界というわけだ。
  政府、3月の日米韓首脳会談検討 米が慰安婦合意を「歓迎」


だが,慰安婦以外にも韓国の反日の道具はたくさんある。
今後も引き続き,韓国は反日でわめきたてるであろう。
いや,慰安婦問題も政府レベルではともかく,
民間レベルでは今後も騒々しいだろう。
民間がうるさければ,韓国政府はいつかは慰安婦問題を再燃させるだろう。

だから,3月の国際会議前の合意の文書化は大切だ。
慰安婦問題は情報戦である。
どちらが正しいか、世界の人に知ってもらうために。


背景 韓国の思惑

@嬉しすぎる日本の提案

韓国経済は現在非常に悪い。
数字を出せないが,
円安による対日競争力の低下,
中国の技術的キャッチアップ,
中国経済の先行き不透明,
などにより,現在の韓国の経済状況は,
2008年のときよりも悪いのでは,とさえ言われている。

労働人口も減少,出生率も日本より悪く,
経済はデフレの兆候があり,しかも長期化しそうな気配だ。
心理的にも韓国はかなり追いやられている。

韓国としては,なんとか日本との関係を良くして,
たとえば,日韓スワップを再開させたがっている。

だが,韓国の外交政策も経済政策同様,破綻しかかっている。
韓国は中国に傾きすぎたのと,今までの非常識な反日により,
朴外交は袋小路にいるのだ。
(まあ,あれが外交といえるものかどうかわからないが)

そこに今回の日本からの救いの手だ。

合意内容を見れば,日本からの要求はあっても,
韓国発の要求はない。
日本側の要求に難色を示すことはあるにせよ,
あくまで日本側のストーリーに沿って合意がなされている。
それだけ,日本の提案は魅力的だったのか。
それとも,飲まざるを得ないほど韓国が追い込まれているのか。

A道徳的優位性

韓国人はよく,賠償がほしいのではない,謝罪がほしいだけだ。
とのたまう。
日本人的感覚だと,何を綺麗ごとを。
と思われるかもしれない。

しかし,韓国では道徳的優位性は万能カードになりうる。
優位者は劣位者に何をしてもいい,という考えが韓国にはあるからだ。

その中でも道徳的優位性は,もともと極東の貧民国であった韓国人の
精神的勝利を得るためにも欠かせないものであり,
道徳的優位性も持ったものは,自分の正義を確信することになる。

韓国の反日は,この感情を背景にしている。
日本は無条件に悪であり,道徳的劣位者だから,
叩いて何が悪い?と韓国人は考えている。
その結果,日本で嫌韓が起こったとしても,
韓国人は不思議がるのだ。なぜ,日本人は韓国を嫌うのか,と。

今回の合意内容は,韓国人に道徳的優位性を与えた。
仮に,韓国政府が慰安婦問題で口をつぐんだとしても,
民間はより騒々しくなるだろうし,
それは慰安婦問題だけではなく,日韓関係全般に波及する可能性がある。

B経済支援ー日韓スワップ

韓国経済は相当状況が悪い。
たとえば,

韓国は輸出依存度が,対GDP比で45%程度。
(日本は15%程度)。資料
輸出によって,韓国のGDPはブーストをかけてきた。

その輸出が,11ヶ月前年度割れ,という惨状を示している。
韓国企業だけではない。
個人の借金も膨張している。

1997年,韓国は政府に外貨がなくてIMFのお世話になった。
今回は,政府ではなくて民間に相当な危機感がある。

当然,朴政権は手を打ちたいわけで,
なんとか日本とのスワップ協定再開を望んでいるといわれている。

韓国は中国と日本円にして7兆円程度の通貨スワップを結んでいる。
しかし,韓国が中国から受け取れるのは『中国元』である。
欲しいのはドルだ。

アメリカとのスワップは望み薄である。
アメリカのスワップ締結国を見れば,日本,ドイツなど
いわゆるハードカレンシーを持つ国ばかりで,
韓国のような経済の不安定なところとはスワップを結ばない。
お互い様,というスワップの性質上,当然である。

それでも数年前,アメリカは韓国との通貨スワップを結んだ。
実質上,スワップではなく,アメリカの経済援助である。
韓国はさっそく,そのスワップを使って経済の悪化を潜り抜けた,
と目されている。
通常,スワップを使うのはかなり後の話だ。
スワップを使ったのは韓国経済が追い込まれていた,ということになる。

アメリカはしばらくして,米韓スワップを打ち切った。
再開させるのはかなり難しいといわれている。

そこで韓国が狙うのは日本である。
だが,1年ほど前に日韓スワップを終了した。
麻生氏に『スワップの継続は韓国しだい』と言われて,
土下座外交などするか,と韓国が憤慨したとされる。

そういう経緯もあり,朴政権の異常な反日政策もあり,
スワップ再開を朴政権は言い出しにくい。

朴政権は,この慰安婦合意ー朴・安部会談を通じて,
スワップ再開の目処をつけたいところだろう。
できれば,日本側から再開を言い出して欲しいだろう。

安部政権が韓国をどうみているのか。
このスワップ再開に日本側がどういう態度をとるのか,
で良くわかることになる。


今回の合意の判断はまだできない。
3月に文書化し,アメリカの後ろ盾を得るのか,
それ以降,韓国がどういう態度に出るのか,
そして,それに対して日本政府は現在どう判断し,
どう動いていくのか。
流れの中で判断されていくだろうと思う。



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posted by DEBUO at 02:05 | 安倍政権 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする