2010年10月05日

国際石油開発帝石(INPEX)がイランのアザデガン油田から撤退


本日の取り上げるべきニュースは小沢氏の強制起訴だが,
先日あったニュースをとりあげる。

米バラク・オバマ(Barack Obama)政権が
7月に発動した対イラン独自制裁。
制裁の対象となると,
米国内での営業ならびに米企業との取引ができなくなる。

だから,石油大手4社が
イランのエネルギー産業から撤退することとなった。

それに合わせて,経済産業省と国際石油開発帝石(INPEX)が,
イランのアザデガン(Azadegan)油田開発からの撤退を決めたと報じている。

これを聞いて,日本はアメリカの犬だから。と捉える向きが多いと思う。
しかし,実情はかなり違うようだ。

そもそも,INPEXはアメリカの制裁対象リストにも入っていない,
アザデガン油田開発は日本にとっては死に体の事業なのだ。

日の丸油田の喪失

日本の最大の日の丸油田は,カフジ油田。

『アラビア太郎』こと山下太郎率いるアラビア石油が,
1957年ペルシャ湾海底採掘権を
サウジアラビアおよびクウェートの両国から獲得したことに始まる。

この『カフジ油田』から得られる石油量は,
日本の日の丸油田の50%を占める。
最盛期には,日本の石油輸入総量の5%相当を産出したという。

期限は40年。
その期限が切れたのが,2000年サウジ,2003年クウェート。


契約を更新できなかったのは,
アラビア石油が官僚の天下り先になったため,との声がある。
官僚ではなかなか王族との個人関係を結べなかったというのだ。

参考


焦った通産省が目につけたのが,
推定埋蔵量は最大で260億バレルという,イランのアザデガン油田。

鬼門である,イランの石油

イランの石油は日本にとっては鬼門らしい。

1970年ごろから89年までに及ぶIJPC,
つまり「イラン・ジャパン石油化学」の大事業は全く実を結ばず,
破綻後,1300億円の清算金まで払うハメになった。

1979年には,イランでアメリカ大使館を占拠事件が起こる。
これでアメリカに渡るはずだった石油が禁輸処置となる。

その石油を買い付けたのが日本。当然,アメリカは激怒。
日米関係を修復するのに数年かかったらしい。

イランのアザデガン油田は世界最大級の油田だが

さて,カフジ油田の権益を失う日本,
代わりに目をつけたイランのアザデガン油田。

推定埋蔵量は最大で260億バレルという世界最大級。
時の森総理が音頭を取り,
イラン経済援助とバーターで油田開発に合意した。

事業主体は石油公団(INPEXの前身)。

ところが,アメリカとイランの関係はかなり悪化している。
それでもムリに日本政府がイランと契約を結んだのは,
それだけ日本の石油資源確保が切羽詰っていた,ということだ。

日本とイランの関係は古くから良好だ。
また,日本があきらめればフランスの石油企業トタル社が参入する構えだった。
それらの点をブッシュ政権が理解して日本に譲歩を示したのだ。

2006年にアザデガン油田開発は終了していた。

しかし,その後ますますイランと欧米社会との軋轢はますばかり。
更には,イランとの契約もおかしなものになってきた。
バイバック方式で12年後にイランに開発設備を引き渡すのだという。

問題点
◆バイバック方式,しかも12年の期間で利益が出るのか?、
 バイバック方式というのは、油田開発に投下した費用に所定の利幅を上乗せした生産物で受け取る方式である。12年後には開発設備は無料でイランに渡すことになるのでイランとしてメリットが高い。
別の言い方をすると,石油の安定供給というより,石油開発設備を売り込むビジネスに変わっていたということだ。
◆アザデガンの油質でガソリンになるのか?
 あまり良好な油質ではないらしい。
◆アザデガン油田地域はイラン・イラク戦争時の地雷が多数埋められている。
参考

アザデガン油田開発の実情は,上記のようなものだったらしい。

さらに2006年4月,日本が持っていた同油田の権益が
75%から10%台に下がった。

権益の多くはイラン国営石油公社に譲渡した。
日本に原油輸入の道は残るものの,
油田開発の主導権は事実上喪失した。

INPEXの事業が事実上喪失していた,というのは,
INPEXの事業がアメリカの制裁対象リストにも入っていなかった
というのがその状況証拠になるんじゃないかろうか。


今回の国際石油開発帝石と経済産業省が撤退を決断したのは,
実質的には死に体だった油田開発事業に
正式な幕引きを行ったということである。

中国が世界中のエネルギーを買いまくっているので,
なんだかなぁ,ではすまないのだが,
結局,イランの石油は日本には鬼門だった,ということだったようだ。


上記の背景を確認する術は私にはないが,
これらが本当だとすると,
産経の下の記事は随分ポイントがずれている。
というよりも,反米・反中をいたずらに煽る,
低質な記事,ということになる。

  ★イラン油田撤退、中国の覇権主義に翻弄 尖閣事件で米に負い目

中国とか,アメリカとか,撤退の言い訳に使われているだけ,
というのが真相ということだ。



posted by DEBUO at 16:32 | 世界の話題 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする