2015年09月11日

BABYMETAL06 生命力


BABYMETALREADING.jpg
2015.08.31イギリスREADING AND LEEDS
この日の最初の演奏者がBABYMETAL。
左側にも同数の観客がいる。
通常は観客がすかすかの時間帯。
現地でも驚きの集客だった(発表では9万人)

◆楽しいー超一流のエンターテイメント

ベビーメタルの会場は笑顔に包まれる。
ウォールオブデスでさえ,笑顔だ。
『楽しい』多くのベビメタファンが証言する。
そんなヘビメタのバンドが他にいくつあるだろうか?

楽しい理由の一つは彼らのショーが超一流の
エンターテイメントであるからだ。

  日本の新進気鋭の作曲陣
  練りこまれた高度なアレンジ
  日本の若手トップクラスのプレーヤー
  非常にオリジナルティの高いダンスの振り付け,
  高い歌唱力,
  キレのあるタフなダンス,
  そして,何よりも三人ともかわいい。

およそ隙がない。
BABYMETALを見ると,今のヘビメタ界で何が不足しているのか,
よくわかってくる。


◆革新性 振れ幅

BABYMETALが新しいジャンルといわれるのは,
アイドルをフロントに据えたというだけではない。
何よりも,音楽に仕掛けが非常に多い。
その一つが,ネットでいうところの『振れ幅』である。

BABYMETALを聴くとすぐに極端から極端に走ることが多い,
ということに気づく。

フロントはアイドルの女の子,バックは極悪なメタルサウンド。
楽曲はJ-POP風からブルータルなメタルまで。
一つの楽曲に積極的なジャンルミックス。
J-POP風楽曲に突然のクレージーなブレイクダウン。

クリエーターたちは楽しみながら創作していったんじゃないかと思う。
ちょっと脅かしてやれ,と。
極端から極端だとして,あまり融合させる,という感じはない。
むしろ,対立をあおるようなアレンジだ。
当初はとまどったとしても,それがすぐに魅力に転じるところが,
BABYMETALの偉大なところだが。

それには高度な知性が背景にある,といわざるを得ない。
そして,それを裏打ちするのがBABYMETALの熱量だ。


◆熱量

BABYMETAL白黒.jpg

60年代から70年代初頭にかけて,
ギターを持っただけで不良のレッテルが貼られた(笑
それは仕方がない。

レッドツッペリンは乱痴気騒ぎをおこして,
出入り禁止になっているホテルが数多くあるという。
60年代末期だと,数多くの有能なミュージシャンが
ドラッグで死んでいる。

ロックは反抗する若者の象徴だったし,
当時の若者文化の中心にあった。
ロックは格好のいいものだったのである。

だが,いまロックやヘビメタに格好いい,というイメージはあるだろうか?
むしろ,ネガティブな反社会的イメージがついてはいないだろうか?

たとえば,悪魔崇拝,オカルト,猟奇的な犯罪,・・など,
病的で根暗なイメージが特にヘビメタにはある。

そこまでいかなくても,ヘビメタというのは,
アンダークラスでいけてない人間が聴くもの。
欧米ではそういうイメージがあるかもしれない。
反抗する,というよりも単にドロップアウトしている,
という感じだ。

そこは,日本のヘビメタ事情と違うと思う。
日本ではヘビメタファンだしても,
単に趣味性が強い,と思われるだけだろう。
日本では音楽にクラス感はあまりない。

そういう海外でのヘビメタの立ち位置を確信させるのが,
ソニスフィアのまとめ映像だ。
BABYMETALに続くミュージシャンたちの多くが,
正直言えば,ショボかったからだ(あくまで個人的な感想)。

確かに,懐かしい名前もあったとしても,
BABYMETALを聴くまでもなく,
音があまりに古すぎるし,シンプルすぎる。
そう感じることが多かった。

BABYMETALが受けた理由は一目瞭然だった。
秀逸な楽曲,練られたアレンジ,バカテクのバックバンド,
可愛らしいアイドルたち。
そしてバンドが一体となってひた向きに
超一流のショーを繰り広げるのだ。

しかも,ソニスフィアは完全アウェーである。
BABYMETALは世界中で論争を巻き起こした。
下手するとペットボトルが飛び交う,
そういうアウェーに乗り込んでのライブ演奏だ。

そして,極上のパフォーマンスと人を溶かすような笑顔で
勝利をもぎとったのである。
その熱量たるや,いかほどであったろうか。

ソニスフィアのまとめ映像を見れば,
いかにベビーメタルがまばゆい存在か,
実感することができる。
(2日目のまとめ映像は削除されていることが多い。
 アミューズが動いているようだ。)


◆HM/HRの対極にあるもの

最大のBABYMETALの革新性は,
彼女らやバンドメンバーの人間としての性質にあるかもしれない。

純粋さ,実直さ,陰日なたのない明るさ,育ちのよさ,
見え隠れする知性。そして,清潔感。
女の子たちが男に狂っているように見えるだろうか。
神バンドは酒やドラッグにおぼれているように見えるだろうか。

他の多くのミュージシャンと比べて,
あまりにもBABYMETALはポジティブに溢れている。

HR/HMはネガティブな文脈で語られることが多いが,
BABYMETALはかつてないほどのポジティブさでもって,
世界に切り込んでいる。

これこそがBABYMETALの最大の革新ではないだろうか。


◆HMの未来 生命力

ソニスフィアは,イギリス人にとって,
懐メロのイベント,という性格もあったんだろうと思う。
日本だと,フォークとか昭和の演歌の祭典とかだ。

確かに,いくつかはイケてるバンドがいた。
メタリカなんかは現役というか,オーラが半端なかった。

しかし,彼らも年老いている。
音に新鮮さがなく,伝統芸能化している。
いかにクォリティの高い音を出していようと,
未来を切り開く音ではなくなっている。
それは彼ら自身が一番よくわかっているんじゃなかろうか。

数多くの有名ミュージシャンたちがBABYMETALにいっちょかみしている。
HR/HM自身の閉塞的な現状を見れば理解できる気がする。
BABYMETALにジャンルの未来を見ているのかもしれない。

それは,生命力という言葉に置き換えてもいいかもしれない。
ヘビーメタルが最盛期だったのは80年代だ。
とっくにピークは過ぎ,廃れるばかりのジャンル,それがHMだった。
そこに未来を感じさせる音で
人々をかつてのように熱狂させるバンドが現れた。
メタリカがBABYMETALを
できのいい孫娘を見るような目で見ているとしても不思議ではない。




BABYMETAL07へと続く


posted by DEBUO at 00:00 | BABYMETAL | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする