2017年01月11日

重要な日露関係

重要な日露関係

中韓朝VS日米、
ロシアはどちらの陣営につくか。
これは大きな問題である。
中国側につけば、勝敗はわからない。
日米側につけば、中国の負けだ。


安部内閣のロシア重視

安部内閣は当初からロシア重視を鮮明にしていた。
安部内閣の優先順位は、
1 日露平和条約
2 対中国包囲網
3 エネルギー
だろうと思われる。

北方四島は日露間に刺さった棘で、
積極的に取りに行く戦略的利益ではない。


ロシアのシベリア政策

プーチンの課題は
1 シベリア開発 対中国
2 経済制裁解除 対アメリカ

シベリアには豊富な資源がある。
しかし、あまりにも寒いうえ、資金不足で開発もままならず、
人口500万人が減る一方だ。

対して東北中国には1億人以上の人がいる。
中国は人海戦術で街に入り込み、コミュニティを作って、
経済活動で街を支配する。
それが世界中で行われている。
シベリアでもそれが進行中であった。
恐れをなしたロシアが中国人退去命令をだしてなんとか平穏を保っている。

が、何かの加減で中国人がシベリアにやってくるかもしれない。
例えば、北朝鮮動乱にまぎれてシベリアへ。
何しろ、シベリアは資源の宝庫だ。
ロシアはまずそれを一番に恐れている。

中国の人口圧力を跳ね返すため、シベリアで開発を促し、
人口を増やし、地域を安定させる必要がある。

経済制裁解除については、ロシアは日本を突破口にしたいのだが、
トランプの登場でその点での日本の重要性は下がるかもしれない。


オホーツク海の重要性(聖域化)

オホーツク海の軍事的重要性について説明する。

2重層.png

上の図はオホーツク海の2重層を説明したものだ。
表面は水深50m アムール川の淡水がなだれ込む。海流を形成する。
水深50m〜は、塩分が濃い。ほとんど動かない。

この二つの層は交わりにくく、熱も伝わりにくい。
オホーツク海は水深3000mもある海だが、
水深50m以下はいわば泥底のようなもので、
まるで水深50mの浅い海のように振舞う。

水深が浅いと凍りやすい。
オホーツク海の表面は塩分も薄いのでより凍りやすい。
そうして流氷が形成され、海流にのってオホーツク海を覆う。

オホーツク海流.gif
この2重の海で潜水艦が上下動を繰り返すと、
塩分の濃い層がレーダーをはじいてしまい、
探知が難しくなるという。
従って、潜水艦はオホーツク海ではより隠密に行動できる。

また、オホーツク海はアメリカ本土に近い。
もちろん、日本の米軍基地はもっと近い。

オホーツクの底では何隻ものロシア原潜が潜んでいる。
人知れず、戦略核ミサイル発射の命令を待っているわけだ。

オホーツク海はロシアにとって、軍事的『聖域』となっており、
バレンツ海とともに、軍事戦略上きわめて重要な地域である。


北方四島の軍事的重要性

〜国後水道の重要性

ロシアにとってのオホーツク海の戦略的重要性は上に述べた通りだが、
このオホーツク海に潜水艦が入り込むのはなかなか難しい。

間宮海峡は深度8mぐらいらしい(測定させてもらえない?)
宗谷海峡は水深30m〜でやはり浅い。
千島列島海域は水深が浅く、島の間が狭い。冬には凍結する。

オホーツク海.jpg

国後島と択捉島の間にある国後水道は、水深は約480m、幅22kmで
不凍海峡である。
水上艦艇の通行にも問題なく、潜水艦は探知されにくい。
オホーツク海〜太平洋の重要なシーレーンなのである。

北方四島を日本側に渡すと、この国後水道に蓋をされてしまい、
オホーツク海の聖域が無効化されるうえに、
シベリアの安全保障が脅かされる。


北方四島は戻ってくるか

上記がロシアが北方四島にこだわる理由である。
ロシアにとって国後水道は軍事戦略的に重要な水道であるから、
金を積まれても国後水道を日本に明け渡すわけには行かない。
つまり、国後島と択捉島の返還はありえない。

そこで、歯舞+色丹の2島返還論が出るわけだ。
ぎりぎり、国後島の西半分+2島という話になる。

よく金を積んで北方四島を返してもらおう、という話が出るが、
まるで能天気な話だということがおわかり頂けると思う。
繰り返すが、国後水道は金では買えない。


北方四島の経済的メリットはない

仮に国後島や択捉島を返してもらったとして、
経済的メリットはいかほどあろうか。
漁業権は得られるだろう。観光も多少盛んになるかもしれない。
しかし、2島には莫大なインフラ整備がなされるだろう。
それはカニの代金に見合うものなのか?

自称元島民も跋扈するだろう。
インフラ投資資金目当ての有象無象だ。
間違いなくネジれた黒い話になる。

北方四島の経済的利益は、明らかなマイナスである。


1956年日ソ共同宣言の2島返還

日ソ共同宣言は、1956年に発効した外交文書(条約)である。
これにより両国の国交が回復、関係も正常化したが、
国境確定問題は、ソ連が2島、日本が4島返還で譲らず、
  日ソ両国は引き続き平和条約締結交渉を行い、
  条約締結後にソ連は日本へ歯舞群島と色丹島を引き渡す
ということで先送りされた。

プーチンもこの日ソ共同宣言の2島返還を促したことがあるが、
基本的に、領土返還には厳しい態度を示している。


以上、北方四島の重要性を見ていけば、鈴木宗男氏などの北方領土問題やロシアに詳しい人たちが2島返還論を主張する理由がわかる。
残りの2島返還は将来への宿題とすればいいんじゃないのか。


ロシアの国境紛争解決例

21世紀、ロシアには3つの前例がある

トゥーズラ島:ケルチ海峡に浮かぶ同島を巡り、ウクライナとロシアとの間にトゥーズラ岬の紛争と呼ばれる領土・領海問題が発生した。2005年にロシアが同島と海域がウクライナに所属することを認めて解決した。

トゥズラ川.jpg

中ソ国境紛争:中華人民共和国とソビエト連邦の間を流れるウスリー川の中州である珍宝島(ロシア名は「ダマンスキー島」)及び黒瞎子島(ロシア名は「大ウスリー島」)などの領有をめぐる紛争。2008年に最終解決した。

ウスリー川.jpg

バレンツ海領海係争
1970年代よりソビエト連邦(現・ロシア)とノルウェーの間で海域をめぐる主張にズレが生じ、係争状態になっていた。
バレンツ海の天然ガスはロシアの産出量の約20%に相当する。
2010年4月27日に係争海域の面積をほぼ二等分する形で境界線を引くことで合意し、終止符が打たれた

バレンツ海.jpg

以上3例、重要性に多寡はあるが、領土問題は解決できるという例である。


日露平和条約

安部首相の最終目的は、当然、日露平和条約締結だろう。
第2次大戦の交戦国で、唯一ロシアのみが平和条約を締結していない。
平和条約を結ぶことができれば、飛躍的に北方の安全保障が高まる。
(締結すれば、ノーベル平和賞ものだ)

プーチンにしても、シベリア開発で日本を引き込むためには、
平和条約を締結する必要があるのは重々承知しているだろうが
日ソ共同宣言以来、棘となっているのが北方四島である。

上記に述べた通り、北方四島は経済的にはマイナスで、
軍事戦略的価値が大きすぎるために、棚上げになっているわけだ。
北方四島にこだわる日本側の感情的な意見もあり、
そこに群がる人々の反発もあるだろうが、
現状では四島返還は無理である。

昨年末、11年ぶりプーチンの公式訪問にあたって
日本のマスコミは『領土問題解決か』などと騒ぎ立てていた。
あれ、ソ連/ロシアとの交渉があるたびに、やってる気がする。
マスコミはただ新聞や雑誌を売りたいだけだ。

ウクライナ紛争以来の日欧米/露の関係悪化や
プーチン訪日前の択捉のミサイル配備ニュースなどを見れば、
領土問題解決の雰囲気が醸成されていないことは明白である。
ロシア側からも、領土交渉にはネガティブな話しか聞こえてこない。

アメリカとの交渉もあるだろう。
日ソ共同宣言では、アメリカの横槍(『ダレスの恫喝』)もあったという。
ウクライナ紛争に基づく欧米によるロシア経済制裁は続いている。

プーチン訪日の結果、日本の対露経済協力が発表された。
これをもって安部首相はプーチンにしてやられた、
などとのたまうマスコミが多かったが、これも
安部政権を貶めたい人たちのただの扇情である。

物事には順番がある。
ただ、北方領土問題は安部政権時代に解決されるかもしれない。
トランプがプーチン好きらしい。
米露関係が緩和すれば、解決の端緒もつくというもの。
私は期待しているのだが。


次回は、トランプ政権について


posted by DEBUO at 00:00 | 東アジア | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする