2017年03月18日

北朝鮮攻撃 その4 変化した北朝鮮外交

北朝鮮攻撃 その3 からの続き

C 変化した北朝鮮外交 

  瀬戸際外交から全方位テロ国家に

金正恩政権の誕生とともに,
北朝鮮攻撃その3で申し上げた北朝鮮を攻撃しない理由,
つまり攻撃しないことによって得る各国の利益よりも,
安全保障への危機が上回るようになってきた。

金日成・正日時代では、核は北朝鮮を守り、
核をアメリカとの交渉材料としてきた。
あくまで、核は政治的な道具であったわけである。
崖っぷち外交と呼ばれていた。

ところが、金正恩の過激な動きは崖っぷち外交ではなく,
全方位テロ国家の様相を見せ始めている。
一つには頻繁な核ミサイルや核実験。
もう一つは金正男暗殺事件。
さらに,中国を含めた外交的孤立。

金正恩は核を持った自国を過信した自己顕示か。
権利掌握のため,父の金正恩を越えたいという焦りか。
或いは冷静な判断で大国に渡り合うつもりなのか。
どのような思惑でいるのかはわからないが、
北朝鮮はコントロールの効かない本当の厄介者になってきた。

それにつれて,世界の認識も変わってきている。
金正日時代は崖っぷち外交で
  世界の安全保障その他の利益
金正恩は全方位テロリスト外交で
  世界の安全保障その他の利益


1 頻繁な弾道ミサイル及び核実験

文末を参照して頂きたいが、近年のミサイル・核実験は
以前より頻繁になされるようになってきた。
自称水爆からミサイルに搭載可能な小型原爆まで作り始めている。

ミサイルの質も向上している。
2017年1月のミサイルも特に日米には衝撃だった。
固形燃料使用、移動型ランチャからミサイルが発射されたからである。
このミサイルは発射兆候を特定しにくいのだ(文末参照)。

また北朝鮮はミサイル潜水艦を開発中とも伝えられている。
これも発射地点を特定しにくい。
発射地点を特定しにくければ、それだけ迎撃が困難になる。

実際、現在のイージスシステムでは
上記ミサイルを補足するには力不足の面があり、
日本でTHAADやイージス・アショアシステム導入が急がれている。
※イージス・アショアシステム 陸上型イージス

もちろん北朝鮮ミサイルの一番の標的は、米軍基地である。
これで昨年からUSAでは北朝鮮攻撃論が噴出。
核ミサイルが整備される前に北朝鮮を叩こうというわけだ。

日韓両国が11月23日、「軍事情報包括保護協定」(GSOMIA)に署名したが、
以上の流れが韓国を相当程度圧迫しているのは想像に難くない。

北朝鮮ミサイル.jpg


2 金正男暗殺事件

大量破壊兵器である毒ガスによるテロであり、
しかも警戒の厳しい国際空港で事を起こした。
北朝鮮のしわざとされる。

マレーシア政府が激怒したのも当然。
世界的に金正恩には実兄殺しのレッテルが貼られ,
北朝鮮排除の正当性が認識された事件となった。

暗殺の背景は推測するしかないが、
金正男の後継者としての正統性を金正恩が嫌ったため、
という見方がある。

金正男は西側教育を受け、中国の庇護下にあった。
中国・西側が御しやすい人物で、
金正男を後継者にしようという動きがあったそうだ。

その中心人物が正恩の叔父・張成沢。
張成沢は金正男をトップにしようと画策、
北京に相談したことがばれたことで処刑されたとされる。

金正男.jpg
クアラルンプール国際空港のターミナル内の防犯カメラに写っていた金正男氏(2月13日)


3 中国との関係悪化

核ミサイルによる恫喝は北京にも影響を与えている。
中国と北朝鮮は血盟、と一般的には信じられているが、
私は以前からこれを疑っていた。
チンピラ同士に信義などあるはずがない。

中国の北朝鮮に対する態度は、
トランプー習会談で腹を割るまでわからないかもしれないが、
仲たがいの兆候がいくつか出ている。

例えば、金正日は5回訪中してる。
金正恩はまだ一回も訪中していないという。
金正恩は中国をも敵視しているようだ。

次のようなニュースもある。

中国に牙をむく金正恩氏「社会主義の裏切り者」…北朝鮮内部文書
YAHOO NEWS

金正恩の意図が何にせよ、北京が対処しなくてはならない
段階に入っているのは確かなようだ。
中国の北朝鮮制裁はわかる限りでは次のとおりである。

中国の石炭貿易港、北朝鮮船の入港禁止 外貨獲得打撃か
朝日新聞デジタル 2016年3月20日
対北朝鮮、中国が新たに制裁 高速カメラなど輸出禁止に
朝日新聞デジタル 2017年1月26日
中国、北朝鮮石炭の輸入を停止 国連制裁決議を執行
朝日新聞デジタル 2017年2月18日
中国、北朝鮮を「仮想敵」視
共同通信 2017-01-30

中朝間がどういう状況なのかはよくわからない。
だが、上記記事を読むと関係は良くないように見える。
北朝鮮国境と北京は最短約800kmしか離れていない。
東京〜広島・函館ぐらいの距離である。
アメリカ以上に中国は北朝鮮の核に強い懸念を感じていると捉えるのは自然だろう。

一方でこういう見方もある。

中国の対北朝鮮の強硬姿勢は本物か?
NEWSWEEK 


中国の対北経済制裁で最大のものは、
北朝鮮への石油パイプを締めることだろう。

中国は北朝鮮に石油・食料を援助していると見られている。
世界の対北経済制裁に効果がない理由の一つだ。

前述したとおり、中国は北朝鮮に破綻して欲しくない。
だから,いくら国連で制裁決議案が出ても,
中国は北朝鮮への援助を止めなかった。

その中国が石油パイプを締めるとすれば、
中国の経済制裁は本気ということになる。

おそらく,そのときは北朝鮮攻撃が間近に迫っている。


参考

北朝鮮の核・ミサイル実験

(1993年)
    ミサイル実験 ノドン(射程1300〜2000km)
(1998年)
    ミサイル実験 テポドン1号(射程2,000km)
(2006年)
    ミサイル実験(7月)テポドン2号ICBM(人工衛星、失敗)
  核実験(10月)TNT換算0.5kt〜15kt※広島16kt
(2009年)
    ミサイル実験 (4月)テポドン2号改ICBM(人工衛星、失敗)
  核実験(5月)TNT換算5〜20kt※長崎20kt
(2012年) 2011年金正日死去、以後金正恩体制
    ミサイル実験 (4月)テポドン2号改ICBM(人工衛星、失敗)
    ミサイル実験 (12月) テポドン2号改ICBM(人工衛星、成功)
(2013年)
    ミサイル実験
(2014年)
    ミサイル実験
(2016年)
  核実験 (1月)TNT換算5〜10kt(自称水素爆弾)
    ミサイル実験 (2月)テポドン2号改ICBM(人工衛星、成功)
   THAADミサイルを韓国と北朝鮮の軍事境界線付近に配備する方針[7]。
  核実験 (9月))TNT換算10kt程度
  北朝鮮は「核弾頭爆発実験が成功裏に行われた」と発表
  ⇒核の小型化に成功、弾頭ミサイルの脅威がアメリカ・日本に広がった。


液体燃料と固体燃料ミサイル

液体燃料はミサイルを撃つたびに注入する必要がある。
劣化や腐食があるからだ。
注入作業を監視していればミサイル発射の兆候を知ることができた。
しかし、固形燃料は事前注入の必要がない。
移動型ランチャや潜水艦もミサイル発射の兆候を掴み難くさせる。


東北中国軍 瀋陽軍区(現北部戦区)
江沢民派系 
北朝鮮利権を握っているとされる
軍閥 7大軍区最強
但し、核は北京軍区が所有している。
朝鮮族が多い

瀋陽軍区は現在、北部戦区に吸収された。
理由の一端は,瀋陽軍区の独走を防ぐため,との説がある。

※江沢民は中国で影響力低下

5大戦区.png





posted by DEBUO at 00:00 | 東アジア | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする