2018年02月18日

ロシアの北朝鮮問題に対する立ち位置

ロシアの欧米への不信

欧米とロシアは仲が悪い。というよりも,欧米とプーチンは仲が悪い。
この辺りの感覚が私にはピンとこない。
プーチンが典型的なロシアのツァーリ(皇帝)だからだろうか。
メドヴェージェフならば,こうはならないんじゃないか。

欧米はプーチンを相当警戒している。
が,プーチンに言わせればそういう欧米こそ警戒すべき存在だ。

ソ連が崩壊したことをいいことに,
周辺国のいくつかはNATO化された。

NATO.png

ロシアの強大な石油会社は西側が支配しようとした。
いくつかの国はCIAの介在で色革命がおきたとされる。
ロシア基地のあるクリミアも取られそうになった。
ルーマニアとポーランドにMD基地もできる。
ロシア包囲網である。

アメリカMD.jpg

アメリカMD02.jpg


或いは,リビア,イラク,シリア,イランの現状を見れば,
そこに西側諸国の欲望丸出しの惨状が嫌でも目に入る。

プーチンに言わせれば,欧米こそ悪の帝国である。


外国の介在を嫌がる

シリア,イラク,イラン,リビア。
欧米に潰されたか,潰されようとしている国。
それは明日の我が身である。そうプーチンは身につまされているだろう。

だから,プーチンは紛争が起きたときに,できる限り介入をせず,紛争国の自主にまかせようとする。明日は我が身だからだ。

そうであれば,北朝鮮問題も基本的には話し合いで解決しようとする。
これがプーチンの紛争に対する基本姿勢だ。

入国制限.jpg


シベリアの安定

プーチンは決してハト派ではない。やるときは,牙を抜く。
いや,ロシアだから強靭な熊爪を振り下ろすというべきか。

プーチン.jpg

原油が高かったときは少し勘違いをしたかもしれない。
だが,現状ではロシアは覇権国になれない。それだけの体力がない。
しかし,今ある国土防衛は是非とも達成しなくてはならない。

その一つがシベリアである。
シベリアは資源が豊富だ。ロシア経済を支える。
しかも,モスクワの東の大きな緩衝地帯ともなる。

しかし,そもそも人の住むところではない。
シベリア全体で500万人強しか人が住んでいない。
しかも減る一方だ。

プーチンはこのシベリアを安定させたい。経済的にも軍事的にも。

不安要素の一つは,東北中国である。
ここには少数民族が多数いる。清以前は北方民族の土地であった。

その東北中国で動乱が起こるのは困る。
東北中国には1億人以上の人が住んでいる。
その一部が難民化するだけで,シベリアは中国人だらけになる。
この人口圧力はロシアの警戒するところだ。

北朝鮮の不安定化は東北中国の不安定化,シベリア動乱につながりかねない。
中国同様,ロシアが北朝鮮での紛争を嫌がる大きな理由の一つである。

少数民族.jpg

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北朝鮮が軍事的緩衝地帯になる。

シベリア防衛のためにも,北朝鮮は都合がいい。
北朝鮮がつぶれた場合,在韓米軍は国境をはさんでロシアと対峙することになる。後ろには在日米軍,グアム,太平洋艦隊が控える。ロシアにとっては負担が大きすぎる。

この事情は中国も同様である。


sekai jousei.jpg

メルカトル図面だとピンとこないが,北極海を中心に世界を眺めると,アメリカー英国(欧州)ー日本は三角形を形成し,ロシアを圧迫していることがわかる。これだと,カナダがアメリカの緩衝地帯だ。

ロシアはオホーツク海とバレンツ海に原潜を潜ませ,ミサイル発射命令を待っている。

西側がロシアを攻略する場合,三角形の一端であり,原潜の潜むオホーツク海の攻略は重要だ。その場合,北朝鮮の存在が邪魔になる。


北朝鮮利権は微々たるもの

よくロシアは北の後ろ盾だとか言われるが,実際は
ロシアは北朝鮮に強い影響力を持っていない。
持っているのであれば,表の世界で何らかのビッグな報道があるはずだ。

ミサイル技術を支援したとか,元KGBが北の警備を指導しているとか,そういう噂もある。ロシアに北朝鮮を支援する目論見は当然あったと思われるが,これをもって黒幕はロシアと判断するのは早計だろう。何せ,北朝鮮は主体思想の国だ。強烈な自己顕示欲が国を動かしているのではないか。


ロシアー北の貿易に関しては,微々たるものである。

北朝鮮貿易.png


確かに,2017年になってロシアは北朝鮮支援を強化した。
しかし,北朝鮮問題に関する発言力を得ようという単発的な試みなのではないだろうか。

ロシアは昨年の12月に北朝鮮労働力の引き受けを止め,ロシアにいる北朝鮮労働者を北朝鮮に送り返そうとしている。

ロシアが北朝鮮労働者の送還を開始 国連制裁履行


半島の強大化は苦にならない

ロシアは北の核と南の経済が結びついても気にしないかもしれない。
確かにウラジオストックは北朝鮮の隣にある。
しかし,モスクワは極東アジアから遠い。距離的にも経済的にも。
日本人は中東での紛争に関心がない。アフリカの内戦も人事だ。
日本から遠いからである。それと同じだ。

むしろ,北朝鮮の強大化を歓迎するかもしれない。
米軍の抑えになるからだ。
米軍のみならず,中国に対する抑えにもなる。
半島の中途半端な混乱はロシアには都合がよさそうだ。

難民の発生の阻止,軍事的緩衝地帯,利権の3点においては,
中国とロシアは北朝鮮に対する利害が重なるが,
半島統一に関しては,中露の眼差しが大きく違う点だと思う。

中国は北京から僅か700km程度のところに北朝鮮の国境がある。
東京からだと青森や岡山程度の距離だ。
経済的な結びつきもロシアとは比較にならないほど多い。
2国間関係がダイレクトに国の安全保障に結びつく。

だから,中国は核を持ったままの半島統一を歓迎しない。
歓迎するとしたら,中国に半島をコントロールできる自信があるからだろう。


極東アジア.jpg



posted by DEBUO at 00:00 | 半島有事 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする